「幸恵…あなた妊娠してるの…?」
ああ、やっぱり…
『聞いてたんだね…』
「ごめんね。お茶持ってきたら聞こえちゃって…」
『……………』
数秒の間があいた。
短かったけど…とても重く…押し潰されてしまいそうな間。
そして…
「幸恵…」
一呼吸おいて、お母さんが口を開いた。
「まさか…赤ちゃん生みたいの?」
‥…━━━━まさか?
そう思う事は…やっぱり許されないの?
お母さんも…
あたしに飽きれるの…?
『……━━堕ろすよ』
「え?」
『堕ろすから!!
ほっていてよもう!!!』
携帯だけ握りしめ
あたしは家を飛び出した。
「幸恵!!!」
追いかけきたお母さんが掴んだ手を
あたしは思いっきり振り払った━━━。