『酷いにも程がある』



タクシーで15分ほど走った所で降ろされた私
井内さんのマンションから
近かったんだと理解し
二度とあの居酒屋には行かないと
心に決めた


井内さん部屋に入ったのは二度目
一度目はあの日だ
慌てて帰り、駅までの道なりはスマホのナビしか見ておらず
ハッキリ場所を覚えていなかったのだ


部屋に入ってすぐ
私は井内さんに不満をぶつけた


『わざとスミレに言わなくてもいいじゃないですかっ!月曜、何を言われるか…』



別に構わない、と井内さんは
ネクタイを緩めお風呂のスイッチを入れていた
相変わらずテキパキ動いている
井内さんも呑んでいるはずなのに
顔色一つ変わっていない



『いいですか?私は井内さんとお付き合いするつもりはありません!』


言ってやった!
これでいい、とフン、と
鼻を鳴らす勢いで言ってやった