「せんぱーい、大丈夫ですかぁ?ペース早すぎっ!」
心配そうに言ってくるスミレも
結構なペースで呑んでいる
空きっ腹で呑んだせいか
回るのも早い
時計を見ると
短い針が11と12を指していて
長い針は太い1本になっている
飲みすぎたー、と思っていても
帰る気にならない
「ーーですかっ?今ですねー」
と、スミレが誰かと話している
知り合いだろうか?と視線を向ければ
スミレの隣には誰もいない
どうやら、電話みたいだ
誰かを呼ぶのかと思い
別にいいや、と店員さんに
『八海山!!』と頼む
「ーーしたー!待ってまーす」
ようやく話がついたのか
スミレはニコニコしながら私の方を向いて、はい、と何かを差し出した
スミレの手には見慣れたスマホ
『……は?それ、私の?』
そうです、とニコニコ笑いながら
返事をするスミレ