だって、つぼみの口から、とんでもない言葉が飛び出したから。
「なぁ、俺のことが好きって言った、のか?」
どうか聞き間違えでありませんように、と、柄にもなく祈りたくなる。
神にも縋る思いで聞き返せば、つぼみは下唇を噛み締めながら眉の端を頼り無さげに下げる。
「どうして、そんなこと、聞くのっ…ひ、ひどいよ…っ」
「待って、本当に?つぼみ、本気で言ってるのか?」
「き、嫌いっ…」
「うん、わかったから。なぁ、俺のこと好き?」
嫌だ嫌だと首を横に振り続けるつぼみの背中を、一定のリズムで優しく叩きながら、落ち着かせた。