その日は、朝から何となく気分が良かった。
3日前から病室に寝泊まりしてくれている義彦からも、朝一番に「お。今日は顔色いいな。一段とキレイだ」と言われたくらいだ。
食欲もなく、寝たきりの状態の今、体重はかなり減ってるはず。
顔だって、頬がこけてしまってるし。
それでも義彦は、「俺の妻は今日もキレイだ」と、毎日言ってくれる。
お世辞でも、彼に言われると嬉しい・・・。
「・・・義彦・・」
「何、織江」
「ん・・もう、いっかい・・呼んで。“おりえ”って」
「織江」
「わたし、あなたの声、すき」
「声だけ?織江ちゃーん」
「ぅぅん・・ぜ、んぶ・・・好き。よしひこ・・」
「ん」
「きょ・・は・・・調子、いいよ。だか、ら・・・かえ・・・」
「・・・織江?織江」
・・・あれ・・・?わたし・・・。
「帰ろう」って・・・「おうちに帰ろう。私たちのおうちに帰ろう」って、言いたいのに。
声、出ない。しゃべれない・・・。
3日前から病室に寝泊まりしてくれている義彦からも、朝一番に「お。今日は顔色いいな。一段とキレイだ」と言われたくらいだ。
食欲もなく、寝たきりの状態の今、体重はかなり減ってるはず。
顔だって、頬がこけてしまってるし。
それでも義彦は、「俺の妻は今日もキレイだ」と、毎日言ってくれる。
お世辞でも、彼に言われると嬉しい・・・。
「・・・義彦・・」
「何、織江」
「ん・・もう、いっかい・・呼んで。“おりえ”って」
「織江」
「わたし、あなたの声、すき」
「声だけ?織江ちゃーん」
「ぅぅん・・ぜ、んぶ・・・好き。よしひこ・・」
「ん」
「きょ・・は・・・調子、いいよ。だか、ら・・・かえ・・・」
「・・・織江?織江」
・・・あれ・・・?わたし・・・。
「帰ろう」って・・・「おうちに帰ろう。私たちのおうちに帰ろう」って、言いたいのに。
声、出ない。しゃべれない・・・。