「別にいいのに。」

「何、俊ちゃん。あれは彼女。」

「違うけど…」

って、俊ちゃん?

「あら、もしかして覚えてないかなぁ。おばちゃんはちゃんと覚えてるのにねぇ。」

嘘だろ?

「購買の…おばちゃん…」

「ピンポーン!」

会計をしてくれているのは間違いなく、中学のときの購買のおばちゃんだった。

12年経っているのに何も変わらなくて、後ろに束ねたもじゃもじゃの髪も…

「ねえ、俊ちゃん、悩みなら…恋多きおばちゃんが聞いてあげようか?」