サイレンの音が遠くなる。

空を乗せた救急車のサイレンが遠くで鳴り響く。

「空っ!!」

叫んでも叫んでもそこに空はいないんだ。

「空っ!!」

そこには自分の声しか響かない。

もう、サイレンの音も聞こえない。

野次馬もいない。

いるのは、僕と、蒼汰だけ。

どれぐらい、立っていたんだろう。

中出からの電話が来るまでわからなかった。

ただ、今わかるのは…

空はもう、いない。