走る前の…走っている琴音は余りにもかっこよかったんだ。

私はいつも、こんな人と走ってたんだ。

「空…」

笑え。私。

もう悔やんでも仕方ない。

「俊、今度は俊の番だから。メダルとってきてくれるんでしょ?」

「おう!!任しとけ!」

俊、ありがとう。

俊のタイムで優勝なんて無理に近いのに、私のためにメダルとってきてくれるって…

「ありがとう…」

私の前を歩く俊の背中は小さい癖に大きくて。

『好き。』

俊の背中に向けて込める言葉。