9面ある少し広いテニスコート。


着いたころには試合はほとんど終わっていて。


無意識に彼の姿を探してしまう。



どこにいるの?



聞きたいことはたくさんあるのに・・・。



「真綾!テニスコート借りれるって!」



そう大きな声で私を呼ぶ、奈央子。



「うーん!」



彼に会えず、一目見ることも叶わず



落ち込む気持ちとは逆に大きく返す私。



彼女が事務室に戻った瞬間、



大好きなあなたと、目が合ってしまった――



岩岸くん・・・。



私の名前に反応したのか、



驚いた瞳でこちらを見つめているあなた。



フタリだけ、時間が止まったように感じた。



どうして、そう問いかけるような、



熱い視線に私の胸は



ぎゅっと音が聞こえそうなほど



小さく縮んだ。