「そういえばさ、何であたしの名前が夏綺なの?」


「綺麗な夏?」


てか、とっさに思い付いた名前に意味なんてないよ!


「まあ、麗夏って言う名前だって綺麗な夏って意味だしね」


「え、そうだっけ?」


お母さんとそんな話したことなかったから、名前の由来なんて知らなかった。


「そうだよ? あたしもそれ教えてもらったの去年だけど」


「ふーん……」


興味がない話に、近くの雑誌を手にとって読み始めるあたし。


「ねえ麗夏!


麗夏って、好きな人いないの?」



「っ……はっ!?///」


何で名前の話からいきなり恋バナになるの!?


「いるんだぁ~?」


にやにやしながらあたしの顔を覗きこんでくる。


「いないから!」


……あれ?


レナって、二年後の未来から来たあたしなんだよね?


ってことは……


「レナほんとは全部わかってるんじゃん!」


「え~? わっかんないなあ。

麗夏の好きな人って誰ー?」


こいっつ……!

相手は自分なのにどうしようもない怒りと恥ずかしさで顔が赤くなる。


「あはは! ごめんって。

一樹(かずき)でしょ?」


鈴原 一樹。同じクラスだけど、すごい人気者で今まで一度もしゃべったことがない。


「頑張ってね♡」


あたしの未来を知っているくせにわざとらしくレナは言った。

別に、ただ好きなだけでどうにかなりたいとか思ってないし。


「ねえ、そういえばレナはあたしが学校行ってるあいだどうすんの?」

「あ、それは大丈夫。行くとこ決まってるんだ」