「大丈夫だよ! まさか未来から来たなんて思うわけないし」
確かに、ましてや大人がそんなこと思いつくわけがない。
「じゃあ………いいよ」
――……
「ただいまー」
普段あたしは『ただいま』なんて言わないけど、今日はレナがいるから無言で部屋まで行くわけにもいかない。
お母さんも、あたしが『ただいま』って言うときは友達を連れてきたときだけだってわかってるから、リビングからあわてて走ってきた。
「………え?」
レナを見た瞬間固まるお母さん。
いや、そりゃそうなるよ。
「あ、えっとこれは………」
そういえば名前を考えていなかったことに今さら気づいたあたし。
「と、友達の夏綺(なつき)!
今日はうちで泊まるんだけどいい?」
とっさに思い付いた名前でごまかしたけど、たぶん大丈夫。
「そう。麗夏とそっくりね。
どうぞ上がって?」
「おじゃましまーす」
とりあえず今日はこれでオッケー……かな?
あたしたちは、お母さんが不審に思わないうちに二階へ上がった。
――……
「ふぅー」
部屋に入った瞬間やっと緊張が解けて、その場にへなりと座り込む。
「お母さん、今のお母さんよりもちょっと若いね」
「そんなこと言われても、二年後のお母さん知らないし」
「あ、そっか。ごめん」
小さなことでもすぐに謝るレナを見ていると、こんなに素直なのが本当にあたしなのか疑いたくなってくる。