「隼先輩ってどうして彼女とか作らないんですかぁ」

「なんでだと思う?」

「えぇー。分かんないよぉ」

帰り道、渚はお兄ちゃんにべったりで私はひとりぼんやりと足を進めていた。

そして今までのお兄ちゃんの妙な視線のことを思い出していた。

例えるなら

あの目はーー…

ーーー捕食者の目だ。


冷静に観察する瞳に

とろけるような甘い瞳。

まるで、

何かを待ちわびているような…。

「ーぉ、未央?」

「へっ?な、なに?」

「なにって家着いたぞ。やっぱお前最近おかしいぞー。なんかボーっとしてるし」

「そうだよぉ。未央なんかあったぁ?」


「なんにもないよ」



おかしいのは

本当に私なの?

ねぇ、お兄ちゃん…。