最初からこういうコトをしようと
思っていたわけでない。

ただ友達に大学生との合コンにいかないか?と
誘われて出かけただけだった。
高校生になったばかりの私にすれば
大学生という肩書きの男というのは
サラリーマンとかくたびれたオジサンとは違う、
なんだか正しい種類の大人の男に思えた。

安いチェーン店の居酒屋で乾杯して、2時間飲んで。
別に美味しいから飲むんではなく。
飲んではいけない年齢なのに飲んでる、
そんな自分が楽しくて。
なんだかやけに楽しさを
演出しなくちゃいけない、って気分になって。
自分自身も作りあげてる、そんな気分に周りも乗っかって。
ちょっと不思議な盛り上がりの空気を持ちつつ。
とりあえず、でカラオケ行って。
適度な部屋の狭さと暗さに、気がついてみたら
友達二人はそれぞれ男といい感じになっていた。
はっと気づくと自分の隣にも、
それもものすごく近くに男がいて、
私を見ていた。
そして、その男は3人の中では一番私のタイプだった。

仲間の一人が唄ってた。
浜崎あゆみだったか、
そのとき流行ってた曲だった。
エコーが適度にかかって歌声込みでBGMの様だった。
自分の番に備えて分厚い曲目リストを膝に乗せて
パラパラとめくってた。

「・・・コレ唄ってよ?」

自分の髪の毛がカーテンのように下がってたのを
耳に掛けて、声のしたほうに顔を上げた。

「この曲知ってるでしょ?俺好きなんだよね」

男はそう言って、私の顔を覗き込むようにして笑った。

「・・いいよね?なんだったら手伝うし」

そういって男は私の返事を待たず、リモコンを手に曲番号を入力した。