千夏ちゃんは落ち着いた声で一言言うと弁当箱のふたを閉じた。


「え?
もう食べ終わったの?!」


「あなたがお話ししている間にね。
どうぞ?
食べながら聞いて。」


「は…い…」


「もうさ、二人を見ているとね。
じれったいのよね。
昔からずっと一緒にいて、当たり前のように隣にいて。
そういう関係だったから今更恋とかなんてなかなかって言う気持ちはわかるよ。
だけどね、少し素直になっただけで今の関係が少しでも変わると思うよ。」




素直…ね。




それができたら、苦労はしないよ…なんて(笑)



素直になるって本当に難しくて。



色々なリスクを考えてしまう。



もしこの一言を言って憐ともう話せないなんてことになったら?




プラスもあるけど、マイナスの可能性だってあるんだよ。



リスクを背負って勝負に出る勇気が私にはない…。



「う~ん」


「香那ってば。」


「無理だよ。」