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 わたしは肩を抱くと、体を震わせた。今日はいつもよりもきんと冷え、体の芯から冷えているのが実感できた。

「姫様、大丈夫ですか?」

 女性が慌てた様子で駆け寄ってきた。

「平気よ」

 わたしは息を吐いた。口元がほんのりと白くなった。
 年が明け、寒い日が続いているが、それでもここまで寒い日は久々だ。
 わたしは障子の先に、移った影に反応して、思わず障子を開けた。わたしは視界に映し出された世界に思わず感嘆の声を上げた。外ではいつの間にか白い雪が頼りなさげにその姿を映し出していたのだ。

「雪」

 そう呟いたわたしの傍に女性が駆け寄ってきた。彼女はほうっと目を細めた。だが、すぐに真剣な顔立ちになった。

「雪が降るのは久しぶりですね。姫様、体を冷やしてはいけません。もっと奥に入りましょう」
「これくらい平気よ。せっかくだもの。義高様に教えてくるわ」
「わざわざ教えずとも」

 女性はわたしを制するが、わたしは聞く耳を持たなかった。
 そのまま廊下に出ると、義高様の部屋へと急いだ。

 義高様の部屋に行くと、小太郎様が顔を覗かせた。
 彼は部屋の奥にいるらしい義高様を呼んできてくれた。

「姫様、何か御用ですか?」