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 いつもわたしの部屋にいる女性が慌てた様子で部屋に入ってきた。
 わたしは彼女を見ると、会釈した。

「どうしたの? 慌てて」
「大変申し上げにくいことなのですが……、鎌倉様の話を聞いてしまいまして、それを姫様にお伝えしようと。鎌倉様は義高殿を殺してしまおうと考えておられるようです」

 わたしは顔をしかめた。
 少し前に、義高様のお父様がわたしのお父様に殺された後、わたしと義高様は正式に夫婦となった。
 不安はありながらも、わたしと義高様はずっと一緒にいられると思っていたのに。

 お父様の決定はわたしが何かを言っても変えられるものではない。

「義高様の部屋に行きます」
「しかし、姫様」
「大丈夫。あなたが教えてくれたということは誰にも言いません。あとはわたしが勝手にしたことです。あなたが責任を感じる必要はないの」

 わたしは彼女を諭すように言葉を綴り、義高様の部屋へと急いだ。