店の外に出るとわたしと榮子は近くで待っていることにした。
 少しして彼女が制服のまま外に出てきた。そして、わたしと彼女はこの近くにある公園に行くことになった。榮子も公園まで行き、近くで別れたのだ。

 彼女は公園の隅にあるベンチまでわたしを連れていくと、長い髪の毛をかきあげた。

「最近、義純と会っている?」
「週に一度、会えるか会えないかです」
「それって義純のお父さんと関係ある?」

 彼女はわたしと彼のお父さんがあったことを知っているのだろう。
 わたしは頷いた。

「そっか。わたしがここまでするのはお節介だと思ったんだけど、このまま義純とあなたが気まずくなるのも嫌だったの。今から言うことは誰にも言わないでくれるかな」
「言いませんけど、話の内容によるかもしれない」

「義純のお父さんのこと。わたしのお父さんも義純のお父さんと同じ会社に働いていたの」
「わたしのお父さんもその会社で働いています。今もですが」

「らしいね。義純からこの前聞いた。あなたのお父さんはかなりやり手だったってね。義純も気にしていたよ。お父さんが会社を辞めた理由をあなたに言えなくて、あなたが気分を害したんじゃないかってね。わたしは話をしていいと言ったけど、義純はどうも気が進まないみたいだった」

 彼女は言葉を切ると目を細めた。

「わたしも無理に聞こうとは思っていません。ただ、両親が川本さんのお父さんのことを気にしていて」

 わたしは言葉を濁らせた。

「少なからず罪悪感を覚えてしまうかな。義純のお父さんが会社を辞めたのは、わたしのお父さんがミスしたのを庇ってのことなの。義純のお父さんはわたしのお父さんより立場がうえで、それで庇ってくれたみたい。ただ、ミスが大きければ大きいほど、謝れば済むという状況にはならないでしょう」