「やっぱり、なんかあるんだ。桜に。」


「相川くん、
なんでわかるの? 
この前も私に聞いてきたし。
私そんな顔にでちゃってるかな?」


僕にはまるわかりだった。

気になってしまうほど、
三神さんは泣きそうだった。


そして今も…


「もしかしてさ、…




  苦しい…?」




僕がそうたずねると

彼女は足をとめて立ち止まった。



「………苦し……く…なんか…ない。






…相川くん、先行ってて。」




彼女は僕を押すと
後ろ向きになった。


もしかして……、泣いてる?




「ごめん、僕余計なこと聞いちゃったね。

三神さん、一緒に行こうよ。」



「いいの。行って!…お願い。」




僕は彼女の言われるままに
坂を進んでのぼった。



もう遅刻ギリギリなのに大丈夫だろうか。



僕は余計なことを言ってしまったな…



僕が気にするようなことじゃない。

そう言い聞かせ
彼女の桜を見る瞳の謎は
もう探らないようにしよう。