「なっちゃんはどこから来たの?」


「え、…あ、滋賀です」




フレンドリーの悠里は
もう勝手にあだ名で呼び出した。


悠里のおしゃべりがまだ続くので
一緒に帰ることになった。




「滋賀!おぉー、琵琶湖!」


「……ふふふ」


悠里のバカっぽい反応に
三神さんも引きつった笑い方をしていた。


「ねえー、なっちゃん。」


「はい」


「敬語やめよー。
同い年だし!もう友達だし!」


「え、あ、そーだね。
悠里ちゃん明るくていい人。
友達になってくれてありがとう。」


「どーいたしまして!!
あ、そーいえば春翔のこと紹介してなかったよね!?」


「…あ、うん。」



桜の話をふってから
またその話をされるんじゃないかって
全く顔を合わせてこなかった三神さんが
僕を見上げる。


「二組の相川春翔くん。
私のボーイフレンドだからね。
仲良くしてあげてね。」


「うん。
相川くん、よろしくね。」


「あ、うん。」



やばい。



「あ!春翔!!!

今度は照れてる!!!!

もう!!なっちゃんと仲良くしていいけど浮気はダメだからね!!!」



悠里は冗談ぽく叱ってくるけど


他の子だったら絶対
疑わしいと思うはずだ。




僕も自分がどうしたのかわからない。



ただ彼女の前じゃ上手くしゃべれなくなり
見とれてしまう。


綺麗だからとか可愛いからとかじゃないくて


ただ何かに吸い寄せられるかのように…




どうしてしまったんだろう。


初めて会ったこの子のことが
なぜこんなにも気になるのだろう。