「ううん、移動でもうエネルギーを使い果たしてしまってね。今度は、もう星の姿にはなれないと思う。飛んだり、体温を調節したりも難しそうだなあ。それでも、わかってて、この星に戻ってきた。君に、どうしても会いたくて」

えへへ、と照れくさそうに叶多が笑う。その言葉を反芻すると、つまり特殊な能力がなくなった、ということで良いのだろうか?

「それは、本当に人間になった、ということ?」

質問すると、叶多は少し迷って、頷いた。

「多分、そういうことかな。前の時は星だった感覚みたいなのがあったんだけど、今はそれもないから、人間に近付いたのは確かだと思う」

「そうなんだ」

前に叶多が人間になりたがっていたことを思い出す。それは良かったかも、と思いかけて、ふと大事なことに気がついた。

「待って、でも、もう二度と星になれないって、それで良かったの?」

勿論、もちろん叶多が帰ってきてとても嬉しい。でもそのせいで叶多が何かを失って、悲しんでいるのは嫌だ。

ところが叶多は、これには迷いなく大きく頷いた。