そこにいたのは、ずっと待っていた人。
「か……叶、多?」
喉の奥にひっかかったように、途切れ度切れの声しか出ない。彼はそんな私を見て、にっこりと笑う。
手を伸ばして、触れる。透けたりはしなかった。ちゃんと、感触があるし、温かい。
「叶多……!」
ああ、ちゃんと、ちゃんと、叶多だ。そう理解した瞬間、目の奥が燃えたように熱くなって、私は彼に抱きついた。
「澄佳。澄佳、ただいま。遅くなっちゃって、ごめんね」
ぽんぽん、と、あやすように叶多が私の背中をさすってくれる。それに更に涙を助長されて、私は彼の服に、自分の涙を吸い込ませた。
「おかえり。おかえり、叶多」
声はどうしたって掠れる。でも叶多はちゃんと聞き取ってくれて、何度も『ただいま』と言ってくれた。
「また、地球に戻ってこれるとは思わなかったな」
地上に戻って、彼はぽつりと呟く。
降り立ったのは、星見峠の頂上だ。追突とは私がそう思っただけで、隕石、つまり叶多は、衝突する直前に止まって、人間になったらしい。地響きはそう聞こえただけだったようだ。
「また、帰っちゃうの?」
恐る恐る、訊ねる。彼はにっこり笑って、首を横に振った。