「着きました。こちらへどうぞ。」
老人は夏波を門まで案内した。あひるの森から屋敷まではそう遠くはなかった。
「ありがとう。」
と、言いながら夏波は門をくぐった。すると、1人の小さな少女が夏波へと駆け寄ってきた。
「…あなたさまは…?……おばあさまはどこ…?」
老人は少女のもとへ歩み寄った。
「姫様、私はここです。」
「おばあさま!おばあさま、おばあさま!どこへいかれていたの?」
「少しばかり散歩へ出かけていました。……姫様、もうすぐ読書の時間では?」
老人は少女にこの場を立ち去ってほしいのか、話をそらした。
「…!そうでした!いってきます!」
「いってらっしゃいませ。」
少女は慌ただしくその場を走り去っていった。
「なたもだ様はあちらのお部屋へ。どうぞゆっくりしていってください。」
そう言うと、老人は夏波に一礼し立ち去ろうとしたが、夏波は老人を引き止めた。
「あのぅ…この国の話は…?」
「お部屋で少々お待ちください。」