でも抑えようとすればするほど、かえって逆効果になってしまい、私はもう完全極限状態を悠々と越え、座っていても変に気持ちが揺り動かされく。
なんだかもう気持ちが一之瀬君でいっぱいで、どうしようもない。
好きだとか
恋してるだとか
……恋愛だとか
そういう感情に支配されてる自分って言うのは、本当に恥ずかしくて、好きな人と目が合ったくらいで精神がぶっ飛びそう。
気持ちに歯止めが利かない……。
そう感じた瞬間、チャイムが運よく鳴り、先生は私に一瞬睨みを利かせて、そのまま出て行った。
その視線に肩をすぼめながらも、一気に机に脱力。
なんだか情緒不安定な気持ち。
「恋愛症候群ですか!」
その声に顔を見上げると、菜穂だった。
やけに楽しそうに笑ってる姿に少しぶすくれながらも、体全身がその言葉を受け入れてしまっている自分がいた。
「さっきの自分の質問に自問自答してたら、急に自分がクサくなってきて、何か参っちゃって」
「へぇー、じゃあさっき自分がした質問の大きさ気づけたんだ」
「え?」
「“恋愛って何?”てやつ。
そんなの答えが一つじゃないから、楽しめるんじゃん!
十人十色なんだからさ、例えば似たような恋があったとしても、その恋が同じように進行すると思う?」
そう言って私に一本ポッキーを差し出す。
私はそれを貰って、「ううん」と首をふる。
「だーかーら、恋愛は自由なの。そこで花を咲かせるか、はたまた花を咲かせずに枯らせるかは自分次第。
恋なんて気持ちでするからいいんでしょう?」
そうはっきりと放つ姿に思わず私は見惚れた。