重々しい空気を背負いながら、教室の扉を開く。

 そうすると菜穂がニヤニヤ笑っていた。

 まさに私の一言を待っているかのよう。

 ちらっと一之瀬君を見ると、一之瀬君はどうやらどうでもいいかのように机に突っ伏して寝ている。

 まぁあれだけ一生懸命に絵を描いているんだから、無理もない。

 でもほんとその存在感は薄いなぁなんて思っていたら、菜穂が「ねぇどうだった?!」と訊くもんだから、とりあえず腰を下ろす。

「……なんか、分かんない」

 その返答に「はぁ?!」と脱力する菜穂。

 だってどうもこうも言い難いし。
 いきなり腕掴まれて、廊下に出されたかと思うと放課後は「放課後は予定が入った」?

 そんなことなら一々呼ばないで頂きたい、と思う。

 
 澪はそんな私を見て、

「ほんとこのままだったら、堕ちるね」

 と鋭い目で言い放った。

 
 変な汗を手に掻いた。