一人になった空間で、私は自分のブログにアクセスした。コメント欄を開くと『死ね』のオンパレード



『紗保の方がいい女。瑞乃美織はガキ臭い』


『紗保の恋人取るからこの役に選抜されたって本当?それで紗保が黙ってなくてヒロイン役の変更があったんでしょ?』


『ブス』

『嫌い』『消えろ』『むかつく』





……………。

ネットの言葉って、どうしてこんなに心に刺さるんだろう

顔が見える相手に直接言われるよりも、もっともっと、ジリジリと心臓を切られてるような気になる

私は静かに携帯の電源を切った。

付けっぱなしのテレビには、円衣裕太の笑顔が映っていた



最近また忙しくて連絡取れてないや…円衣裕太も忙しそうだし…
円衣裕太は、私と紗保さんの事どう思ってるのかな…

そんな事を考えているうちに極度の疲労により、気絶したように眠っていた






目が覚めると既に深夜
真っ暗な事務所で目を覚ました私は、今世紀最大級の孤独感に襲われていた

なにか音が欲しくて何げにつけたラジオからは、円衣裕太の声が聞こえてきた
私はあまりのタイミングの良さに自傷的な笑が溢れた


これを運命と呼んでいいのか

円衣裕太がタイミング良く出てくるのではなく、それは円衣裕太の人気と忙しさを物語っているだけだった





真っ暗な事務所の中、一人ラジオから聞こえる愛しい声に耳を傾けていた

ラジオの内容は耳を塞ぎたくなるような、あの『紗保VS瑞乃美織』の話題だった




『今大人気女優のツートップが争ってるみたいですけどマルはそれについてどう思ってる?
ドラマの中だけではなく、リアルともなるとドラマも見ごたえありそうだよね?』



『…僕は、そんな証拠も無い噂をどうこう言うつもりはないっていうか…たかが噂だろ?って思う。
なんで、みんなそんなもの信じてここまで騒げるのかわかんない。ってのが正直な意見』






私の目からは涙が大量に溢れていた
円衣裕太のたったその一言は、私の心を救った

私は涙を拭き、叩いているアンチにもう二度と負けない事を誓った

私は私。…誰に何を言われても私と好きな人だけがわかってくれればそれでいいんだ


裕太…会いたい