現場に到着、スタジオ入り共演者に軽く挨拶を済ませると、各々にマネージャーと流れの確認をしていた

丁度その頃、円衣裕太のグループがスタジオ入をした




裕「おはようございます!よろしくお願いします!」




声を張って挨拶をしたのは円衣裕太だった。
相変わらず天狗にならず、まるで1番下っ端かのような挨拶をしていた。それを眺めていた私に佐々木が言う




佐「A社では有名だよ。
円衣裕太のそういうところ…
円衣裕太だけあんなに挨拶させるわけにはいかないって、新人達も円衣裕太の真似するんだってさ。
だから最近の業界人の評価は、A社が礼儀正しいってもっぱら」



美「へぇ~…」





紗「私はあそこまで挨拶する必要、ないと思うけどね」


話にサラッと入ってきたのは紗保さんだった




紗「裕太くらいの俳優なら、どんと構えて場の雰囲気をグチャグチャ混ぜちゃえばいいのよ。
それが大物の威圧でしょ?そう思わない?」




紗保さんは私に話を振る




美「私もそれは少し思うけど、あれが円衣裕太の良いところって言うのも間違いじゃないと思います」



紗「今はいいかもしれないけど、いつもあんなに低姿勢だと…追い越されてる事にさえ気付かなさそう…」






私と紗保さんは、ただ周りに明るく接する円衣裕太を見つめていた
視線に気付いたのか円衣裕太がこっちに向かってきた


その視線は二人を見ているのではなく、まっすぐに私を見つめてくれていた




だがその視線を遮るように、紗保さんは円衣裕太に駆け寄っていった