「お疲れさまでしたー!!」
楽屋に戻ると直ぐに次の仕事だ
佐「美織、これからドラマの番宣でゲスト出演のバラエティの収録
主役の俳優の方と、あと紗保さんと3人だね!」
美「了解!お弁当食べちゃダメ?」
佐「ロケ弁、車の中で食べなよ
ほら!移動するよ!」
佐々木はロケ弁を持つと、早々と楽屋を出ていってしまった。急いで後をついていくと丁度、外で紗保さんに会った
美「…お疲れ様です」
紗「むかつく。」
美「…え?」
紗「これから毎日、ドラマの番宣に撮影にって、アンタと顔合わせなきゃいけないじゃん。最悪」
美「…どうしてそんなに私の事、毛嫌いするんですか?私、何かしましたっけ?」
紗「別に…ただムカつくだけ。」
紗保さんは吐き捨てるように言うとこの場を去ろうとした。どうせ後でスタジオで会うけど…
私は紗保さんの後ろ姿に向かって言い放った
美「…私、紗保さんのファンやめますから!」
紗保さんはピタリと足を止め、ゆっくりと振り返った
美「これからはライバルです…これでいいですか?」
ライバル…その意味がわかったのかわからなかったのか、紗保さんはキッと私を睨んだ
紗「…絶対に渡さないから…」
低い小声で言った紗保さんは、マネージャーの待つ車へと消えていった
どうやらライバルの意味は通じたみたいだ
紗保さんの好きな人は円衣裕太
幼馴染みの紗保さんはきっと、食事会で私と円衣裕太が意味有りげに会話していたのを見逃さなかったし、不審に思っている。
だから私を、敵とみなしたんだ
美「渡さない、負けない…か。」
佐「美織!何してるんだ急げ!」
佐々木に怒鳴られ私も急いで車に乗り込んだ
車内で佐々木が「遅刻したらどうするんだ!」などと説教していたが何も入ってこなかった
大好きだった紗保さん…
複雑な気持ちのまま、私は次の仕事場までのわずかな移動の時間を睡眠時間に使った