……裕太?
振り向くとそこには、情熱的な真っ赤なドレスに身を包んだ紗保さんの姿があった。
美「紗保…さん…?」
私を無視して、紗保さんは円衣裕太に一直線に向かっていく。
紗「裕太、社長が呼んでるよ。紹介したい映画監督が居るって」
裕「あぁ、わかった。今行くよ…
じゃあ瑞乃さんまた…」
紗「瑞乃……?」
そこでやっと紗保さんは、私の存在に気付いてくれた。
紗「あ!瑞乃さん…」
美「どうも…紗保さん、昨日ぶりですね」
裕「え?瑞乃さん、紗保と知り合いなの?」
紗保…?呼び捨て?
美「昨日、一緒に仕事させてもらったんです。」
紗「裕太こそ、なんで瑞乃さん知ってるの?」
すかさず紗保さんが円衣裕太に振った
裕「俺も前に一緒に仕事した事があるんだよ、ね?瑞乃さん」
円衣裕太が私にしかわからないように微笑んだ。
一気に嬉しくなって笑顔になる
私…単純…
そんな私達を面白くないかのように見る紗保さんが居た気がした。勘違い?
紗「…そうなんだ。私と裕太は幼馴染み。昔からの知り合いなの」
わざとらしく、円衣裕太の腕に絡まる紗保さん。
円衣裕太はそれを簡単に交わすと「ちょっと呼ばれたからまた」そう言って足早にこの場を後にした。
なんとなく、紗保さんとの間に流れる空気はピリピリしていた。