この会場で、シャンパンを持ちながら微笑む円衣裕太はまさに絵そのものだった。
グレーのスーツが似合っている
て事は、隣のあの偉そうな御方はきっとA社の社長…。社長の隣でお酒を飲むなんてかっこよすぎるよ…
佐「ほら美織。
早く社長に挨拶に行こう
今日はそんなうじうじしてる暇はないぞ。
社長にも、A社の社長にも挨拶できるチャンスだぞ。
それに、有名な作家や監督だって来てるんだ。自分を売り込むチャンスだぞ」
美「わわわわかってるよぉ~…」
完全に怖気づいてる私は、変な声を出してしまった。
だが勇気を出して一歩踏み出した
会場に足を踏み入れた瞬間、世界が変わったような気がした。
私が生き残ろうとしている世界はこんなところなんだ…。たった一歩、その華畑に足を踏み入れただけで私の心は根元からぼっきりと折られてしまいそうだ
佐「美織…大丈夫か?
今日はやめよう。…顔、真っ白だぞ」
美「い、いや……」
その時だった。声が聞こえた
まるで天使のような…甘い声…
裕「瑞乃さん!!!」
声のする方を向くと、円衣裕太がこっちに手を振って笑っていた。
円衣裕太が声をかけた事で会場の殆どの人が私に注目した。
それは円衣裕太の隣にいる、大手A社の社長も同じ事だった