富「美織は、終身刑なんかじゃない」
美「…変なこと言わないでよ」
富「ずっと思ってた事だ。
一緒に居た時間、いつも…美織は円衣裕太の事を考えていた。罪悪感に溺れ、自分だけ幸せになる事は許されないと攻め…もう10年も苦しんだじゃないか」
美「…そう。もう10年………10年よ…?!
裕太だって、とっくに私の事なんか忘れてる。
たった1年付き合った女を…
彼の中では、裏切った女を…
覚えてるとしたら、憎しみとしてだろうね」
富「円衣裕太に会いたくないのか?」
美「……本当にもういいの。」
富「なら何故、10年間一度もそのネックレスを外さないんだ」
美「……。」
富「…どこかで見てるかもしれない円衣裕太に、伝える為じゃないのか?まだ待ってるって…まだ好きだって……」
美「…裕太は私に何も言わずに消えた。少しでも私を…売名を疑っていたなら、最後に一言くらいあったはずでしょ…。なのに、消えた。何も言わずに…
私は10年前に、とっくに失恋してるの。振られてるの。」
これ以上、富田の話を聞きたくなかった
富「…美織、俺はいつでも美織の幸せを考えて」
美「…富田さんは、私が居なくても平気なのね」
富「…俺達、夫婦でもなければ付き合ってもないだろう。なら訊くが、美織は俺が居ないとダメなのか?」
美「…もうやめよう。この話は…
なんでそうなるのかわからない」
部屋から出ていこうとした私に富田は言った。
富「…答えられないじゃないか」
聞こえないフリをして寝室へと逃げた
ベットに潜り込み、忘れられそうだった記憶は鮮明に蘇ってくる