食事もお風呂も済ませ、寝室に入った。
富田は先にベットで寝ていた

私は富田を起こさないように、ドレッサーの引き出しを開けて1枚の名刺を取り出した

名刺を眺めていると後ろからいきなり富田の声がした





富「…もう、そろそろ連絡してもいいんじゃないか?」



美「やだ…起きてたの?ビックリさせないでよ。」



富「その名刺…」





私が手に持っていた名刺は10年前に、X病院で紗保さんに渡されたあの名刺だ。

あれから、名刺の存在どころではなかった私は、事件から半年経った頃に名刺を見つけた
10年経った今も、まだ連絡出来ずに居た


紗保さんなら、円衣裕太の居場所を…彼のその後を知ってるかもしれない。

そう思いながら10年もドレッサーの中に閉まったままだった




富「…美織、連絡してみなよ。」



美「バカね、あれから10年も経っているのよ?
同じ電話番号な訳ないでしょ?」




しわくちゃになった名刺を、私はまたドレッサーの中に戻した