テーブルに出来立てのシチューとサラダ、パンを並べる。冷えたボジョレーヌーボーに、生ハムとチーズをつまみに…
「戴きます」グラスにボジョレーヌーボーを注ぎ、乾杯をした
美「…今年のボジョレーヌーボーはどう?」
富「…少し薄いな。でも悪くはない、爽やかで飲みやすい」
私は納得しもう一口、口に含んだ
富「美織はいつまで経っても、ワインの味がわからないんだな」
富田は笑いながら言った
円衣裕太が引退し、消息不明になったあの年から…
もう、10年もの月日が経っていた
美「いつの年のボジョレーヌーボーが1番好き?」
私の質問に富田は目を閉じて考えた。
富「…そうだなぁ。
やっぱりあの年かな…」
美「私も…。あの年のボジョレーヌーボーは最高だった」
言葉には出さないが"あの年"とは、円衣裕太が引退した年。
私と富田が初めて2人でボジョレーヌーボーを飲んだ、あの年