「ねーいるの?」
無言で背中をむけたままの隆士
無視!?おしえてくれたっていーじゃん
「いないわけでもないわけでも………」
「なにその中途半端なこたえ」
顔向けない
俺様クールの隆ちゃんがあせってるの?
「だからなんなんだよ急に!」
いやそうにふりかえる隆士
「ーーーわたし、好きってどういうことかわからないんだよね」
正直、どんどんわからなくなってる
初恋は、ただカッコいい優しいだけで思ってた気がするし
カッコいいがそのまま好きって気持ちとも違うと思うし
友達とか家族の‘好き’とどうちがうの
まわりはどんどん恋愛していってる
付き合った
別れた
………好き、ってなんなんだろ
「ーーーーー基準はみんな違うんじゃねぇの?」
タバコに火をつけ遠くを見つめる隆士
「人の気持ちなんて、目に見えねぇし、不確かなもんなんだから、他人が言う気持ちと自分の思うものが同じとかぎらねぇ
けど、一緒にいたいとか
いま同じことを思ってるとか
そんなありえねぇ奇跡みたいなことを願うことが
‘好き’って気持ちだと俺は思う
けどな、それは俺の思うことであってあおいだったら別な‘好き’があるかもしれない
人それぞれ考え方違っていていいんじゃねぇの?」
「隆ちゃん……………」
わからない。
って顔をしてたんだと思う
「この意味がわかんなきゃとうぶんあおいは恋に疎いままだな」
って、隆ちゃんはわたしの頭をくしゃってなでて帰っていった
好きーーーーーーか…………。