*勇Side


うしろ姿はまるで恋人同士みたいだった






おれ 何しに来たんだろ


邪魔するつもりだったのに・・・









「弱っちいな俺・・・・」



出口付近のベンチにうなだれるように腰掛けてると小さな女の子が近づいてきた



「お兄ちゃんどうしたの?」 



勇が顔を上げると目の前に赤い風船をもった女の子が心配そうに見ている




「迷子になっちゃったの?」

迷子か・・・・
恋に迷ってるけどね



「・・・・ちがうよ」




「じゃあどうして1人なの?」




う゛
痛いとこ突くねー







答えに困っていると、その女の子は持っていた風船を勇に差し出した



「あげる。みつけてもらえるよ。」



「あ・・・・ありがと」



「はなれちゃだめだよ」




そう言うと母親らしき人のもとへともどっていった






はなれちゃだめ




だよな





はなれちゃだめだ







だから 戻ってきたんだし


まだ俺は何もしてない




真っ赤な風船を持ち勇は出口とは逆の方向へむかってかけだした