突如、隣国との戦争が起きたのだ。

僕は徴兵令のため、出兵しなければならなかった。

この街に住むということは、この国に住むということでもある。
やむを得ない。


出兵前夜、メイは僕の胸に顔を押し当てて泣きじゃくった。

僕はメイに誓った。


絶対帰ってくるから。

約束するから。

だから
帰ったら
結婚しよう。

あの風の見える丘の教会で。



翌朝、泣き疲れて横で寝息をたてるメイを起こさないように気をつけて、僕はベッドから抜け出した。

メイの手が僕のシャツの裾を掴んでいた。

僕はそれを
そっと引き放すとメイの頬にキスをした。


涙の味のキス。


僕は、まだ昇り切らない朝日を体に受けながら街を出た。