「……ずっと、こうしてたかった…。明日、死ぬかもしれないって恐怖だった時、いつも都を思い出してた。兄ちゃんに頼んで、都の写真…一枚無理言って貰ったんだ。それが僕の支えだった…」









「写真…?」




「うん。都が笑ってる写真」




そ、そんな写真で手術を乗り切ってたの?





呆れ半分、恥ずかしさ半分で、私は自分でどんな顔をしているか分からなかった。





「…その顔、僕は好きだよ」




そのストレートな言葉に私は、顔が熱くなるのが分かる。





同時に胸の中で、ほろ苦いキャラメルが広がった。






キャラメルは、焦がさなければ甘くて…焦がしてしまえばたちまち苦い味になっちゃう。






それはまるで人生そのものだってママが言ってた。









上手に程よい味にするのは本人次第。







「……私、も…」



香輝の手が少し震えた…。
…私も少し、香輝と同じように手が震えた…。