「謝らないで。…僕、都のその言葉に少しだけ勇気が貰えた気がしたんだ。あのパーティが終わって1ヵ月も立たない内に手術をしたんだけど、それまでどこか逃げ腰だったんだ。自分で手術を決めたのに…」
香輝のにこやかな笑みの影にはイッパイ、イッパイ、辛い事があったんだ…。
病気になったら誰だって気弱になるし、逃げたしたくもなるよね。
「都の言葉が、僕には『病気に打ち勝つ気ないの?』って聞こえて、頑張ろうって思えたんだ」
「私、そんなつもり全然…」
「僕の勝手な解釈」
フフフ…。と、悪戯っ子みたいに笑う香輝の顔はようやく、年相応に見えた。
「早く、おっきくなって都に追いつきたかった」
悪戯っ子のような笑顔から一転…、真剣な表情で私を見つめる。
「…でも、今は少し後悔してる。どうして、都に早く会わなかったんだろう…。
どうして、都より遅く生まれたんだろう…って…」
今度は、初めて見る香輝の悔しそうな表情。今日は彼の色んな表情を見る…。