真っ白なシーツをギュッと握りしめて、白い手や指先が血が通わなくなった人の様にさらに白くなって、香輝の儚さを表していた。
「…だから、今の学校には病気の事を言わなかった。先生にも言わないでくれって頼んだんだ…」
香輝は、一度も私の方を見ようとはせずに、ずっと窓の外を眺めていた。
…ううん。もしかしたら、窓の外の景色も見てないのかもしれない。
それだけ彼の深刻な気持ちがあったんだろう…。
「日本で入院してた時も、僕には姉ちゃんしかいなかった…。だから、アメリカに来たばかりの頃は、ホームシックって言うのかな? 日本に帰りたかった。手術の事を決めたんだけど…ね」
「……え…?」
香輝は一体いつ、アメリカに来たんだろう…。
「8才の時に、こっちに来て、体力がついてきて10才で手術をしたんだ。その時、一気に胸とお腹を2ヵ所を開いた大手術。その時に心臓を繋げてる血管を人工のモノに変えた応急処置」