「……ねぇ。ケント…だっけ? 彼、何て言ってたのかな? 早口すぎて聞き取れなかったんだ」
聞き取れなかったんだ…って言っても、聞かれて困る様な事を言っている訳じゃないんだけどね。言いづらい内容だな…。
「……あ、のね…」
「…無理に、言わなくてもいいよ。今の都、つらそうな顔をしてる…」
言いかけた言葉を優しく諭してくれるもんだから、ずっと堪えていたものが込上げてきて…大粒の涙が頬を伝って自分の膝に落ちた。
それと同時に喉を詰まらせてしまうほどの呻きが零れてしまった。
大丈夫!! って、私を心配してくれる人に、これ以上心配させない様に笑顔を振りまいていたけど、香輝の言葉と優しい笑顔に何か堪えていたものがあっけなく壊れてしまった。
「わ、私…、ケントと…付き合ってた…。けどね、私が最近、自分でも気付かない内に別の人を、見てたみたいで…。それをケントが…敏感に、察知して……」
何度も詰まりながら話をする私に、香輝は何も言わない…。
…呆れてるのかな?