ここが病院だと言う事を忘れてしまう。





「…ねぇ、何で病院にいるの?」



こう言うのって素朴な疑問って言うのかな?



彼がここにいる理由が思い浮かばない。



風邪をひいてる訳でもなさそうだし、体調が悪そうにも見えない。




じゃぁ、何で?



「………ん~…。ちょっと、体調が悪くって、ね」




曖昧な言い方…何か、誤魔化しているのがすぐに分かった。



体調だって悪そうに見えない。でも、何か…突っ込んで聞けない。


…だって、香輝がすごく儚げに笑うんだもん。胸の辺りがギュッて、痛くなる。





「少し、寒きなってきたね…。部屋に戻った方がいいよ?」


「香輝は?」




「僕もすぐ戻るよ。もう少し、月を見てたいんだ…」








フイッと視線を逸らして、空を見上げる香輝の横顔を私は少し見惚れてしまった。
キレイな目。