その人も、私もこの病院にいるなんて思ってもみなかったから、目を丸めて相手を見つめていた。
「…香輝…」
「……驚いた…。都、どうしたの?」
パチパチと何度も瞬きを繰り返す香輝は、不思議そうに私の顔を見つめる。
「香輝こそ…」
「都、こっちおいでよ。月がキレイだよ」
手招きまでして笑いかける香輝。どこか…変。
何がどう変かなんて分からなかったけど、私の言葉を遮ってまで、話をすり替えたんだもの…。
…でも、フラリと香輝に誘われるように私は、彼の隣りに立った。
意外な事に気付いた。香輝の着ている服が、一番見る事がないだろうパジャマ姿だった。
…どこか具合が悪かったのかな? でも、ここ最近、そんな様子を見受けられる事はなかったよね…。