「一応、君の親に連絡を取ろうと思ってたんだけど…失礼とは分かっていたんだが、荷物を見させてもらって自宅に電話しようと思ったんだが…誰もいないみたいでね…」
「…ぁ…。ママは、今日から出張で…。パパは…明後日帰って来る予定なんで、家には誰もいないんです…」
誰もいない家に帰る事が、急に心細くなった。
帰りたくない…。優しい里莉さんと一緒にいたい…。
「そうか…。では…、どうするかな…。一晩ここで、泊まる事は構わないんだが…君は、一人きりになるのが恐いと思う。……しかし、里莉も子供を産んだばかりだからな…」
「に、兄さん。私は大丈夫です! あの子も…」
「……しかしだな…」
「…ぁの…私からも、お願いします…」
誰かが近くにいて欲しかったけど、それが誰でもいいって訳じゃなくって…今の私には里莉さんが側にいて欲しかった。