「…はい」
「失礼。…ああ、帰ってきたか…」
これまた、白衣を着た30歳すぎのカッコいい男の人が部屋に入ってきた。
……や、やば…。何か、体が…震えてきた。
こ、恐い。
何で?
「都ちゃん? 大丈夫?」
息がし辛くなった時、フワッと背中に優しくての温もりを感じた。
背中を擦ってくれていたのは、里莉さんだった。
甘いバニラの匂いが、私の鼻に届いて、強張った体の力を徐々に抜いて行く事が出来た。
「落ち着いて…。もう、大丈夫だから…」
背中を擦っていた里莉さんが、いつの間にか私を抱き締めるような形となった。