ただ、痛かった事だけが記憶に残っている。
逃げるように荷物を抱えてケントの家から出て来た私は、自分の体のあちこちが痛い事に気付いた。
手首を見ると、ケントが強く掴んだ痕が赤く残っている。
足は、歩く度に筋肉痛に似た痛みと引きつるようなモノを感じていた。
半ば足を引きずりながら、家に戻ろうとしていた私は何とも言えない吐き気を覚えた。
ケントの家を出て、どのぐらいの時間が経ったのか分からない。
辺りは薄暗くなって、電灯が辺りに点灯している。
途中で、自分が息切れしてる事に気付き、道路に膝をつきそうになるのを堪えて再び歩こうとした瞬間…。
「……っう…。いっ…たぁ…」
道路に倒れてしまった私は、それ以上動けなくなってしまった。
意識も朦朧としている気がする。
「だ、大丈夫!?」