「ずっとドア見てたって、その水瀬愛羅ってやつがどんな顔も知らねえのに、どうやって見分けるんだよ」


…図星だった。言い返せずに、少し俺はむっとなってしまい、無視して窓を見てみる。


窓には大きな桜。


綺麗な淡いピンク色をしていて、桜が舞っている様子を見ると、いつも切なくなってしまう。


「なんで、こんなに綺麗なのになぁ」


ぼそっと呟いたとき、クラスのドアが、そっと開いた。