「うっ...五月蝿いっ!」


俺はカッとなった。完璧な程にニンマ殺人計画は進んだはずなのに...。


「俺は好きだった。ニンマの事が、狂ったように好きだった。そう、殺したくなるくらい...」

俺の目から溢れるとめどない涙、涙、涙。


どうしたんだ、冷徹裁判官クリリアス=カルロス。


俺が涙など...。流していいものか。


「お前は...俺の秘密を知ってしまった、俺が...悪徳裁判官だということに」

「ふっ...。それの何がいけない?お前は、愛するニンマを殺し、私を絶望の淵へと落とした。そんな奴は、裁かれて当然なんだ」

「...と、いうと?」

「まだわからないのか?...お前をここで殺す」

「...!!!く、来るな!」

男の手に握られている電動ノコギリ。あんな物で首でも引き裂かれたら...。

「っ。来るなぁ...。お前が、お前が居なければっ...!ニンマは俺の物になったのに」

「ふっ。負け惜しみもイイトコだな。」

「馬鹿にしやがってぇ...!お前なんて!」


俺は、男の腕を掴み、電動ノコギリを叩き落とした。


ブルゥゥン、ブルゥゥン、ドゥルンドゥルン!


電動ノコギリは、床で音を立てて飛び上がった。