太陽が眩しい。

「今日あったかいね」

「うん……」

5時間目、体育の授業。
お弁当を食べ終えてからの、ぽかぽかとした陽気の中でこれは。

「眠い………」

「ちょっと大丈夫?顔色悪くない?」

「や、大丈夫。寝不足なだけだと思う」

バレーコートの中で走り回るクラスメイトを、少し離れたところから千尋と並んで見守りながら欠伸をひとつ。
足元に転がってきたボールを拾うためにしゃがんだら、そのまま地面に手をついて眠ってしまいたくなった。

「寝不足?珍しい。夜何してんの?」

「いやあちょっとね……、探し物を」

またひとつ欠伸が出た。

一条くんに連れて行ってもらった、約半年前の4月5日。
そこで新たな手がかりを得た。
とりあえずあの本を確認してみようと、家の中を探し回ってもう3日がたっている。
どこにも見つからないのだ。

深い青色をしたハードカバーに、金色で印刷された文字。厚みは3センチほどあっただろうか。
すぐにでも見つかりそうな外見なのに、どこを探しても見当たらない。

もしかしてもう家の中にはないのかもしれない。
お母さんが持っていってるのかも。とても大事そうにしていたし、十分にあり得る。

そうはいっても今の所その本以外に手立てがないので、諦めきれずに毎日家を漁っているのだ。

「次私達のチーム試合だよ。そろそろ準備……って、ちょっと真子」

「え、なに?」

「今立ったまま寝てたでしょ。もう保健室行っちゃえば?」

「あー、うーん」

それもありかと思っていると、どこかから慌てたような声が聞こえた。

「危ない!!」

「え?」

顔上げると、やっぱり太陽が眩しかった。
反射的に目を細めると、太陽の光が一瞬にして遮られるのが見えた。
あれ、と思ったときにはもう遅い。
バレーボールは、私の頭に見事にクリティカルヒットした。