「とりあえず、放課後病院に行ってみるけど……やばい、手が震える」

「大丈夫。不安なら一緒に行ってやるから。病院に行って顔見たら安心出来るだろ」

まだ実感が湧かない。
本当に助かったんだ。信じられない。
いや、信じてたんだけど、それでもやっぱり信じられない。

「あ、そうだ。途中で花でも買って行くか?」

「それいい!そうしよ!あ、待って、お金いくらあるかな」

カバンの中をゴソゴソと探る。
ところが、財布がなかなか見つからない。

「あれ、どこいったかな……」

「持って来てたのか?」

「うん。2時間目のあとにカフェオレ買ったし、あるはずなんだけど……」

地面にカバンの中身をひっくり返してみる。

ポーチ、筆箱、タオル、お弁当を入れてた袋、ヘアピン、家の鍵、定期、イヤホン……。

「あ!1円玉出てきた」

「どっからだよ……」

「ええー、ないっぽい…」

どこを見ても財布は見当たらなかった。

「自販機のとこに忘れてきたんじゃないのか」

「わかんない、どうしよう……」

困る。
もしかしたら誰かに取られたのかな。それか、どこかに落としちゃったのかもしれない。

「うーーん。…あ、そうだ!」

ぱっと閃いて、目を輝かせながら一条くんを見た。