「一条くん、本当にありがとう」

改めて、一条くんにお礼を言う。
一条くんがいなかったら、こんな結末にはならなかった。

真実を知ってしまって、果たして自分は後悔しないだろうかと、悩んだ時期もあった。
もうこれ以上知りたくないと、心が折れたこともあった。
だけど今、これでよかったと心から思える。一条くんに協力してもらって正解だったと、胸を張って言える。

「広野が頑張ったからだろ。俺が手伝ったのは、4月5日に行ったときだけだ」

「そんなことない!お父さんも言ってた。”よくここがわかったな”って」

お父さんから聞いたことだけど、お母さんは私が自分を見つけられる訳ないと言ってたらしい。
だけどもしも、万が一居場所を突き止めたときは、会わせてほしい、って。
だからあの時、お父さんは迷わずに私を病室へと連れて行ってくれたのだ。

「一条くんが協力してくれなかったら、私……」

「……まあでも、それももう終わりだ」

「…え?」

「無事に最後まで真実を解き明かした。俺の協力は終わり。だろ?」

それがどういう意味なのか、すぐにはわからなかった。

協力は終わり。
だけど、私達の関係はこれで終わりじゃないよね?

聞きたくても聞けなかった。

星を見上げた一条くんが振り返って、おめでとう、と言ってくれた。