支えられている。そう思った。

大樹さんに騙されていても、一緒にいるときは幸せな時間だったと言った千尋。

今は叶わない恋だと知っていても、そのおかげで勇気が出たと言った島崎さん。

中途半端に傷付けたのに、振った私の背中を押してくれた早川くん。

私にはない強さを持ってるみんなのことが、とても羨ましかった。
どうしてそんなに強くいられるのかと思ってた。
だけどそんなみんなの存在が、私に勇気を与えてくれる気がして。

「……大丈夫。俺がいる」

一条くんの手が伸びてきて、私の頬を拭った。
そこで初めて、涙が頬を伝っていたことを知った。

一度気が付いてしまったらもう止まらなかった。
どんどん、湧き出るように涙が溢れ出てきて、やばいと思ったときにはもう遅かった。

「俺がいるから」

ゆっくりと、一条くんに抱き締められた。
驚いたけど、その温かさが心地よくて、すがりつくように身を委ねた。
止まらない涙は、一条くんの制服に次から次へと染み込んでいく。


この温かさに、この優しさに強さをもらって、この人を心から信じてみようと強く思った。